GitHub 関連発表
完全まとめ
Build 2026 のキーワードは "agentic frontier"(エージェント時代)。GitHub Copilot を中心に、複数の AI エージェントを「本番ソフトウェアと同じ作り方」で構築・運用するための新基盤が一挙に発表されました。
全体ビジョン — "Build in GitHub"
「エージェントも本番ソフトウェアと同じ方法で作るべき」。GitHub はエージェント開発のライフサイクル基盤として位置づけられました。
エージェント開発のライフサイクルを GitHub が標準化
Microsoft Agent Platform 全体の中で、GitHub は 「エージェントを構築する場所」として明確に定義されました。エージェントは source → test → deploy → observe → improve というライフサイクルに従う必要があり、GitHub はこの流れと、初日から必要となるガバナンス制御を提供します。
- 構築は GitHub で: 「GitHub Copilot でコードを書いて速く動く」。エージェントを GitHub で構築し、Microsoft Foundry にデプロイし、最適なモデルで自動最適化する流れ。
- 単一システムの一部: Azure / Microsoft IQ / Fabric / Foundry / Windows / Security / Microsoft 365 と並び、エンタープライズ規模でエージェントを展開する「単一の統合システム」を構成。
- すべて一箇所で: このシステムのために作られた「新しいアプリ(=GitHub Copilot アプリ)」上で、これら全部を実行可能。
"Agents must follow a lifecycle: source, test, deploy, observe, and improve. GitHub sets up that lifecycle and provides the necessary controls from day one."— Microsoft Build 2026 公式アナウンス Index
GitHub Copilot アプリ (最大の目玉)
複数エージェントを並列に「指揮」するための、エージェントネイティブなデスクトップ体験。GitHub の上に構築された新しいコントロールセンターです。
"My Work" ビュー — 全リポジトリの稼働を一望
単一の My Work ビューから、接続したリポジトリ横断で「稼働中のセッション・Issue・PR・バックグラウンド自動化」を一望できます。アイデア/既存の Issue/PR から開始し、複数のエージェントセッションを並列にオーケストレーションしながら、変更をレビュー・CI・マージへと進められます。
- git worktree で完全分離: 各セッションは独立した git worktree(ブランチの実体コピー)上で動作。並列エージェントが互いに干渉しません。worktree の作成・後片付け・ブランチ管理はアプリが全自動で処理。
- 対象プラン: 既存の Copilot Pro / Pro+ / Business / Enterprise ユーザー向けにテクニカルプレビューで提供開始。
"The new GitHub Copilot app is the agent-native desktop experience built on GitHub … you can see work in motion across connected repositories: active sessions, issues, pull requests, and background automations."— GitHub Blog(Mario Rodriguez, CPO)
Agent Merge — PR をマージまで運ぶ
Agent Merge は、プルリクエストをレビュー・チェック・マージまで自動で運びます。CI を監視し、必須レビュアーを追跡し、失敗したチェックに対応し、すべての条件が満たされるまで待機します。
- 自動化の度合いを選べる: 「CI を green に戻すまで」「フィードバックに対応するまで」「条件を満たしたらマージ」など、Copilot にどこまで任せるかは開発者が決定。何を有効化し何を出荷するかは人間が制御。
Canvas — 意図を「検証可能な作業」に
チャットは指示や曖昧さの解消には強いものの、作業が進むとログと判断の長いスクロールになります。Canvas はそれを解決する双方向の作業面です。
人とエージェントが同じ面で協働する "AX" の始まり
Canvas は人とエージェントの双方向な作業面(bidirectional work surface)です。プラン、PR、ブラウザセッション、ターミナル、デプロイ、ダッシュボード、ワークフロー状態などを表示できます。
- リアルタイム協働: エージェントは作業に応じて Canvas を更新し、開発者は同じ面上で編集・並べ替え・承認・軌道修正できる。
- 役割分担: チャットは「指示・議論・曖昧さの推論」の場、Canvas は「その意図が、検証・操舵できる可視化された作業になる」場。これが Agent Experience(AX) の出発点。
"Canvases are bidirectional work surfaces for humans and agents. A canvas might show a plan, pull request, browser session, terminal, deployment, dashboard, or workflow state."— Microsoft Build 2026 公式アナウンス Index
Cloud & Local サンドボックス
エージェントが「コードを実行し、結果を検証し、反復する」ための境界付き環境。本番に触れずに安全に動かせます。
実行場所をローカル/クラウドから選択
Copilot をローカルマシンとクラウドのどちらで動かすかを選べます。セキュリティとエンタープライズのポリシー強制を優先しながら、エージェント駆動のワークフローを解放します。
ローカルサンドボックス
マシン上の隔離環境で動作。ファイルシステム・ネットワーク接続・システム機能へのアクセスを制限。ポリシーは中央で構成・強制可能。
クラウドサンドボックス
GitHub がホストする完全隔離・短命(ephemeral)の Linux 環境。組織が独自ポリシーを定義。任意のデバイスからセッションを引き継ぎ、リモート操作できる。
Copilot コードレビューの進化
エージェントが大量の PR を生むほど、レビューの圧力は増大します。Copilot コードレビューは適応的・エージェント的にノイズを濾し取ります。
自社基準を反映する拡張性と Medium tier
- 自社流に拡張: カスタムエージェントスキル・MCP サーバ連携・構成可能な Actions ワークフローで、社内基準・社内システム・エンジニアリング文脈をレビューに反映。
- Medium tier review: PR をより高推論のモデルにルーティングし、precision / recall を向上。管理者はリポジトリ単位で low / medium を設定でき、低リスクには軽量・低コストモデル、高影響リポジトリには高性能モデルを割り当て可能。
- /security-review スキル: セキュリティ評価に特化した専用経路を提供。
- /rubberduck スキル(一般提供): 複数のモデルファミリで実装を批評し、新規の問題を発見。
- Azure DevOps ネイティブ対応: Azure DevOps 上でも、ワンクリックレビュー・インラインコメント・コミット可能な修正提案をそのまま利用可能。
GitHub Copilot SDK が一般提供
Copilot アプリを動かしているのと同じエージェントランタイムを、自分のアプリに組み込める形で公開しました。
「ひとつのランタイム、多数の接地面」
GitHub Copilot SDK は Node.js / TypeScript・Python・Go・.NET・Rust・Java の6言語で一般提供(GA)に。社内コード解析ツール、独自のリリースノート生成、サポートワークフローに埋め込むエージェントなどを、寄せ集めの独自スタックではなく同じ基盤の上に構築できます。
"Now generally available in Node.js/TypeScript, Python, Go, .NET, Rust, and Java, it exposes the same agentic runtime that powers the Copilot app."— GitHub Blog
Copilot CLI の強化
ターミナル派の開発者がそこに留まり続けられるよう、CLI が大きく刷新されました。
TUI 刷新・音声入力・スケジュール・ローカル委譲
- 再設計された TUI(/experimental モード): PR・Issue・Gist にタブでアクセスできる新ターミナル UI。
- ボイスモード: オンデバイスの音声認識を使用。音声がマシンの外に出ることはありません。
- /every: 繰り返しのプロンプトとバックグラウンドタスクをスケジュール実行。
- /fleet(ローカルタスク委譲): ローカルモデルのサブエージェントへ選択的に委譲。クラウド上の主エージェントがプランを立て、各タスクの複雑度を評価し、モデルのサイズと能力に応じて適切なものをローカルへ振り分け。
- MXC プロセス分離を採用: Microsoft Execution Container(MXC)のプロセス分離を採用し、動的に生成・実行されるコードの権限を制約。エージェント実行をユーザーのデスクトップ・クリップボード・入力デバイスから隔離。
クラウド自動化・クラウドエージェント・メモリ
「コードを書く」だけでなく、Issue を立て、議論を始め、レビュアーに返信する——その全工程をエージェントが担えるようになります。
許可制から autopilot へ、そして時間を超える記憶
- クラウド自動化: エージェントをスケジュール実行、GitHub イベントに反応、Issue を作成、コメントを残す。既定では書き込み操作のたびに許可を求め、信頼が築けたら autopilot に切替。
- Copilot クラウドエージェント: Issue の起票、議論の開始、レビュアーへの返信まで、エンジニアリングの全ステップを処理可能に。
- Memory++ と /chronicle: デバイス間・時間をまたいだ継続性を Copilot に付与。アプリ・CLI・VS Code・GitHub 上で始めたセッションの文脈を後から参照できる。
パートナー製エージェントアプリ
サードパーティ製のエージェントアプリが GitHub Copilot と統合。お気に入りのツールから離れずにタスクを自動化できます。
Issue を好みのエージェントに割り当て
パートナー製エージェントアプリは GitHub Copilot と統合し、タスク自動化・コード生成・文脈解析・アクション実行を支援します。Issue を、自分のワークフローに合う新しいエージェントに割り当てられます。自社のエージェントアプリを GitHub に持ち込むにはウェイトリストに参加。
MAI-Code-1 モデル
Microsoft 独自の MAI モデル群から、コーディング特化モデルが Copilot に登場しました。
GitHub 向けにチューニングされた高効率コーディングモデル
MAI-Code-1 は「推論効率の高い(inference efficient)、GitHub 向けにチューニングされたコーディングモデル」で、Copilot と VS Code で利用可能になりました。Build 2026 で発表された7つの新 MAI モデル(画像・音声・文字起こし・コーディング・推論にまたがる)のうち、コーディング領域を担うモデルです。
事実確認メモ: 一部のニュース集約サイトは「Project Polaris が GPT-4 を置き換える」と報じましたが、Microsoft / GitHub の公式アナウンス Index には該当記述はなく、公式に名前が挙がっているコーディングモデルは MAI-Code-1 です。本資料は公式一次情報を優先しています。
セキュリティ — Defender × GitHub Code Security
エージェントが生むコードを安全に届けるため、ランタイムの文脈を開発ワークフローへ取り込みます。
Microsoft Defender と GitHub Code Security の統合が GA
Microsoft Defender と GitHub Code Security(旧 GitHub Advanced Security スイートの一部)の統合が一般提供になりました。ランタイムの文脈を開発・セキュリティのワークフローに取り込むことで、チームはリスクを早期に優先付け・対処でき、人的リソースへの影響を最小化できます。
- GitHub Copilot CLI の MXC 採用: 動的に生成・実行されるコードができることを Microsoft Execution Container のプロセス分離で制約。
- Security の GitHub Enterprise ネイティブ対応: インシデントを Issue → 調査 → PR → 修復プランへと、統治されたサービスID(governed service identity)のもとで進められる。
GitHub Copilot モダナイゼーションエージェント
レガシー資産の刷新を、ポートフォリオ全体でスケールさせるエージェントが一般提供になりました。
IT と開発者を束ねる、初のエンドツーエンド・モダナイゼーション
GitHub Copilot modernization agent が一般提供に。アプリ所有者・アーキテクト・開発者が、アプリケーションポートフォリオ全体でモダナイゼーションをスケールできます。
- Azure Copilot migration agent(パブリックプレビュー)と連携: 発見・評価から依存関係マッピング、ROI 分析、ウェーブ計画まで、数ヶ月の手作業を数分に短縮。
- 初の統合型ソリューション: 両エージェントが組み合わさり、IT と開発者のワークフローを統合する初のエージェント型エンドツーエンド・モダナイゼーションを実現。